おいしい料理のためのエッセッンスをかけた後は、実際においしい料理を作るためのプロセスが必要になってきます。
そこでここでは、おいしいお料理ができるまでの基本的なプロセスを考えます。
そのプロセスとは、主につぎに挙げる6項目のことをいいますが、これらの過程を経ることによって一つの料理が完成するのです。
以上の6項目のそれぞれにどのような特徴があるのかということを頭で考え、目で見て、舌で感じることによって、おいしい料理を習得していきます。
1. 献立の立て方
食べる時間や食べる人によって、最も相応しいメニューを考えることが料理の基本といえます。
2. 材料の選び方
新鮮で無駄のない材料選びを心掛けましょう。
材料のなかには調味料も入ります。献立にあわせた調味料を選ぶことは非常に重要なことです。
同じお酢や醤油でも、それぞれの料理に合ったものを選びたいものです。
たとえば中華には中華料理用のお酢があり、和食には和食にあったお酢があります。
砂糖、酒、塩、酢、醤油、味噌、みりんなどの基本的な商品知識をもつことが必要になります。
3. 下準備・下ごしらえ
4. 加熱(調理)技術
煮る→鍋などに水を入れ、これを沸騰させることによって素材に火を通すことです。
蒸す→材料に柔らかく火を入れるということです。強火の場合は100度近くになりますが、弱火の場合は70~90度位の温度でさらに柔らかく熱を通します。
揚げる→油を使うため温度を100度~230度位までの広い範囲で料理を作ることができます。
(低い温度というのは100~140度のことで、中華の油通しに使います。また高い温度とは180~200度で天麩羅などに用います)
※素材や作る料理によって油の温度は使いわけます。
焼く→焼くとは以下の行為を指します。
・オーブンでケーキを焼く。
・フライパンでお肉を焼く。
・魚等を網の上で焼く。
・魚等を串にさして火にかざす。
・直火焼き。
・鍋で野菜を炒める。
5. 味付け
舌で感じる味覚には、甘い、辛い、酸っぱい、苦い、渋いの感覚があり、全ての味覚のバランスが良いことを五味の調和といいます。
つまり、味覚のバランスがよければ、料理の味がよいということになるのです。
ただこの5つの味覚のなかで、苦い、渋いという感覚を加えるための調味料ははとんどありません。逆に、素材のなかに自然に含まれている場合などは、あくとして取り除くのが普通です。酢豚などの料理を思いうかべると、味のバランスの大切さを考えさせられます。
また、調理する素材がそれぞれ持つ味のことをうま味成分といい、五味の感覚とは区別しています。
五味の調和をはかるためには、調味料を入れる順番も考えなくてはなりません。たとえば、煮物に調味料を加える順番はサシスセソだと昔からいわれています。これは、砂糖、塩、酢、醤油、味噌のことで、なかでも重要なのが、塩分の濃度です。
塩分濃度は、体の生理的塩分濃度に揃えて0.9パーセント前後の味付けにするのが一番おいしい料理になるといわれています。
6. 盛りつけ
バランスのとれた献立をたて、材料も申し分のないものを選び、下準備も完璧、調理も文句なし、味付だって非の打ち所がないほど上手にできても、盛りつけが美しくなければせっかくの料理もだいなしです。
なんといっても彩りと形をバランスよく盛ることが重要になってきます。
赤・青・黄色の色の三原色に白黒をいれた五色を考えながら材料や食器を選ぶとよいでしょう。
また、材料の種類、季節、味付け、形、場所などを考慮して盛りつけることを忘れてはなりません。
和食の場合、丸い素材には四角の器、四角い素材には丸い器、そして白い素材には黒い器、黒い素材には白い器というように、素材や器に気をくばり、それぞれが際立つように盛りつけることがポイントです。
また、洋食や中華の場合は、丸くて白い食器が多いため、素材の形や彩りに工夫をしながら盛りつけるとよいでしょう。